新型コロナウイルスの喧騒も一服して2023年は、日本へのインバウンドが戻りつつあります。日本政府観光局(JNTO)の統計によりますと、訪日外国人数(2023年9月推計値)は218万人となり、2019年同月比で9割を超えました。つまり新型コロナの拡大前の実績にほぼほぼ近づいた形です。
私は都内在住ですが、仕事で都心(渋谷とか表参道とか)に行く際も、出張で地方の観光地などに行く際も外国の方を見る機会が増えてきました。
それ自体はとても嬉しいことで、外国の方には是非とも日本に来ていただきたいと常々思っていますが、他方で昨今は在留外国人が日本での生活で不便したり、特定技能研修生の問題だったり、オーバーツーリズムで地方が大変だったりと、何かと課題が絶えません。
そんな中で現在日本政府が取り組もうとしている施策の一つを取り上げます。
それはというと、、、、法務省や出入国在留管理庁が中心となって、日本に住む外国人の生活・仕事の課題について総合的に支援する専門家を育成する制度を2024年度目処に創設する方向で検討が進んでいます。
創設を考えるに至った趣旨として、日本の各種制度(例えば年金とか社会保険)がわかりにくい、制度で困った時にどこに相談すればわかりにくい、教育・子育ての悩みを相談する人がいない、といった外国人の方の悩みを背景に、このような制度の検討に入っているようです。確かに日本の社会の制度は日本人にとっても難解ですので、こういった課題がワンストップで解決することはありがたいです。
とはいえ、このコーディネーターに(1)誰がなるか、どう育てるか、(2)何をやらせるか、(3)(民間がやるなら)マネタイズはどうするか、(4)ガバナンスはどうするか、といった課題が考えられます。
▼参考
まだまだ制度設計の段階ですが、報道や発表情報によると、現状は外国人在留支援センター(東京)や各自治体の窓口の職員を対象としてコーディネーターを数百名育成する方針とのこと。将来的にはこの「コーディネーター」が国家資格化も視野に入れているようです。
資格とするならそれなりに高度なこともやるのかもしれませんが、法務省の検討会の資料ですと、なんとなく相談に来てくれた外国人の悩みを聞いて、適切な箇所に繋ぐ、一緒に悩んでくれる、といった感じでしょうか。
※法務省資料抜粋
個人的な意見として、このコーディネーター、本気でやろうと思ったら、なかなかに広範な知識と、それなりの外国語習得度が求められます。ニーズは多いとはいえ、多種多様なバックグラウンドをもった方から様々な要望が来ることを考えると、公的機関で全てやるのは大変かもしれません。あと、公的サービスでやるなら気にすることではないかもしれませんが、それなりに人件費がかかる(ビジネス目線だとマネタイズが難しい)のも課題ですね。
この「コーディネーター」的な役割を将来的に当社で請け負えて、在留外国人の駆け込み寺になれるような存在を目指して、我々も頑張りたいと思います。